ハウスメーカー・工務店とは?
ハウスメーカーとは、全国的に広範囲な営業範囲をもっており、テレビCMなどでも知名度の高い企業です。その多くが、部材の生産からすべて工場でシステム化されており、全国の系列営業所で同じ品質のものを使うことで、コストダウンを測ったり、効率化を行っています。
それに対して工務店とは、地域に密着したサービスで、広範囲には営業を行っていません。その分、昔ながらの信頼や口コミで成り立っており、大手ハウスメーカーよりも融通が利いたり、対応にスピード感があるということが多いです。
ハウスメーカーVS工務店!項目別徹底比較
企業規模
規模は、ハウスメーカーのほうが大きいと言えるでしょう。全国で営業所を設けており、住宅展示場やモデルハウスも各所に多く展示されています。工務店は、地域密着型なので、1つの都道府県のみが施工エリアになっていることも多く、大きい工務店でも、2~3の都道府県の営業所に近いエリアのみ施工エリアをしていることがほとんどです。
モデルハウスは主な営業地域に数カ所で、住宅展示場はほとんどなく、主に過去に施工したOB訪問といった形で、施工事例を実際のオーナーに話を聞きながら見学できます。
設計の自由度
ハウスメーカーには「規格制約」が設けられているケースが多く、標準仕様と呼ばれるパッケージの中から、床材や扉などの素材や色など、限られた部分を変更していくという手順で家づくりを進めます。オプション料金さえ払えばそれ以上に手を加えて理想の家にすることができるかと言えばそうとも限らず、吹き抜けの総面積やコンセントの位置など、何かと制限が多い印象です。
反対に、工務店にはハウスメーカーのような規格制約がないため、自由度は非常に高いと言えます。ただし、自由度が高いからと言って、必ずしも理想の家が建つわけではありません。実際、建築家顔負けのデザイン力を持った工務店もたくさん存在する一方で、「デザインにはそこまで気を配らない」という工務店も珍しくないのです。いずれにしても、会社によって差が大きい部分だと言えるでしょう。
精度と工期
精度に関しては、ハウスメーカーは工場生産で、現場では組み立てるだけのものがあったりするので、平均した品質は保たれているでしょう。工務店の場合は、現場の大工さんや設計士の腕にかかっているところも多いため、精度にバラツキがあります。ただし、凝った造りやデザインの家にしたい場合は、工務店の得意分野をうまく生かすことができるかもしれません。
工期に関しては、35坪くらいの一軒家で工務店が4カ月程度、ハウスメーカーが3.5カ月程度になります。工期や設計にかける時間も、ハウスメーカーの場合だと、コストの問題で制限されていることがあります。工期は短ければいい・長いほうがいいということもありません。
アフターサポート
工務店のアフターサポートは、会社によって大きく異なります。施工後のサポートに力を入れているところを選ぶと、後々安心して生活できるでしょう。対してハウスメーカーの場合は、全国でアフターサポートの基準が明確に決められています。担当者が退職したりしても、全国で決まっているルールに則って対応してくれるでしょう。
料金
料金は、工務店のほうが安くなることが多いです。ハウスメーカーの場合は、資材を大量生産、大量発注してコスト削減していますが、その分多額の広告費がかかっています。テレビCM、住宅展示場、雑誌、看板など、全国でその名を広めるためにお金がかかっているのです。
その分、工務店は大量発注のコスト削減はできませんが、広告費がかかっていません。地域密着型の口コミで広まって施工をしているからです。家の値段はピンキリですが、同じような家を建てるなら、工務店のほうが安く建てられることが多いです。
本体価格3,000万円の家の価格内訳例ハウスメーカーの場合
- 工事原価
- 1,500万円
- 会社の利益
- 1,000万円
- 広告宣伝費
- 500万円
工務店の場合
- 工事原価
- 2,000~2,250万円
- 会社の利益
- 750~1,000万円
注文住宅を建てるなら工務店がおすすめ
僕が数多くの住宅メーカーの中から大手ハウスメーカーを選ばなかった一番の理由は、注文住宅ならではの自由設計が望めなかったからです。
実際に自由設計をうたっているハウスメーカーにも足を運び、こちらの希望を相談してみましたが、驚くべきことに、様々な理由を付けてモデルハウスと同じ仕様にするように勧められました。自由設計とは言いながらも、初めから家のほとんどの部分で標準的な仕様が決められており、自由にできるのはごく限られた部分だけだったのです。
後で知ったことですが、大手ハウスメーカーで言う注文住宅とは、工場で大量生産した資材を現場で組み立てるだけのパッケージ商品のことです。設計を標準化し、施工をマニュアル化することで高いクオリティーと効率を維持しているため、あえて顧客の自由な要望は退けたいという事情があるようです。
例えば「吹き抜けは総面積の3分の1以下」「室内側の窓枠は白、和室の窓枠は木目のみ」「窓の下にはコンセントは設置できない」と、ここまで制限されているパッケージ商品も実際に存在します。自由設計を望むなら、大手ハウスメーカーはおすすめできません。
その点、工務店の注文住宅なら、純粋な注文住宅を高品質で建てることができます。自由に設計できる分、建築費用が高くつくのではと思われがちですが、工務店なら限られた予算の中で理想を形にするためのあらゆる提案をしてくれます。その結果、間取りやデザイン、材質、工法にまでこだわった、世界で1軒しかないオリジナルの我が家を建てることができるのです。