注文住宅を建てることが決まったら
なにより大切なのは「なぜ一戸建てに住みたいか」という目的をハッキリさせることだと思います。仕事、家族、趣味など複合的に決め手を考えなければなりませんが、要するに「住んでからのイメージを明確に持つこと」がまずは重要かと思います。
注文住宅にしろ建売にしろ、それぞれメリット、デメリットはあるかと思いますが、どちらが良いか悪いかを判断するのは他人ではなく施主です。
「自宅でPC作業をすることが多いのでゆとりのある書斎が欲しい」「女性にも優しい間取りにしたい」「趣味のバイクを楽しみたい」「ピアノを置きたい」「大好きな猫と一緒に快適な暮らしがしたい」など、人によって欲しい家のイメージはバラバラです。
家に住むということはただ寝る場所や食べる場所を確保するためではなく、生活をより充実させるものでなければ非常にもったいないと思います。
なので、まずはその基本となる「なぜ一戸建てに住みたいか」という部分を整理しましょう。
資金計画や融資を受ける準備
資金計画においても同様に、家族の将来を話し合うことは非常に重要です。住宅ローンを利用するならば、単純に月に返済できる金額を算出するのではなく、例えばお子様の教育費や結婚、誰かが病気になったときや定年後の生活費用、大きな家電や家具の買い替え、車の乗り換えといった家族の将来のライフプランを検討し、一生涯の家計の収支を明確にした上で、家づくりにあてられる資金を確認する必要があるためです。
2007年の住宅金融公庫廃止により、それまで金利やサービスがほとんど同じだった民間の住宅ローンは、例えば預金を預け入れることで低い金利で融資を受けることができるものや、ガンと診断されれば返済が免除されるもの、リストラや倒産による失業時には一定期間返済が猶予されるといった「保険」の付いたものも登場するなどし、その選択枠が大きく広がりました。
金融機関によってもその優遇制度が大きく異なりますから、各金融機関の商品を知ることも重要です。とても大きな買い物になるので、少しでも有利になるように検討しましょう。
家の建築を行う工務店の選定
注文住宅を建てる過程で、いちばん大変でいちばん重要なのが、この工務店選びです。逆に言うと、いい工務店を探し当てることができたらもう満足のいく家が建ったも同然です。
まずは自分たちが建てたい方向性の家を得意とする会社を見つける必要があります。優れたデザイン力、高い施工技術、予算内で建てることができるかなど、人によって重要視するポイントは様々ですが、特にデザインについては「感性」や「好み」に係る部分が大きいので、ホームページやカタログなどを参考に、自分たちの理想により近い会社を選ぶ運びになってくるかと思います。
ただし、住居であることが大前提なのだから、どんなにオシャレでも住み心地が悪くては意味がありません。長期優良住宅仕様であるか、地盤保証制度があるかといった、住宅の性能や保証制度が信頼できるかどうか、必ず確認をしておく必要があります。
また、設計や建設だけでなく入居後のメンテナンスなど非常に長いお付き合いになりますから、アフターサービスの充実度などもひとつ重要な判断基準になりそうです。
- 耐震・耐久性
- 断熱・気密性
- 居住性
- 環境
- 設計・間取の自由度
- デザイン力
- 価格
- 会社の安心感
- きちんとした施工
- アフターサービス
まずはこのように重要視したい項目を書き出し、優先順位をつけて検討していきましょう。
家の性能を最重要視したいケース
耐震性や気密性・断熱性といった家の性能面に関しては、「住宅性能表示制度」という、住まいの性能を等級や数値で示す制度を利用して、目で見て確認することができます。気になる施工業者があれば、その会社の標準仕様で作ったモデルプランの「性能表示データ」を見せてもらいましょう。あるいは自分の希望する住宅の性能を施工業者に伝えることで、自分の望む性能の家を手に入れることもできます。
「性能表示データ」を見ても、具体的にその等級がどれくらい優れているのか、またその性能がどれくらい重要なのかなど、いまいちよく分からないという方には、「認定長期優良住宅」が適用か否かで判断することもできます。
認定長期優良住宅は、「住宅性能表示制度」の項目の中から特に重要な4項目をピックアップし、これをクリアしていることを証明してくれる制度です。
家の性能を最重要視したい場合には、「住宅性能表示制度」または「認定長期優良住宅」の対応ができるかどうかを確認するようにしましょう。
家のデザインを最重要視したいケース
要望・自由度に関しては、ハウスメーカーの家は全国どこでも施工できるように規格化された商品であり、要望を細かく取り入れられる仕組みになっていません。
一方、工務店や設計事務所はデザイン力を売りにしている業者も多く、こちらが感動するような図面を書いてくれることも多いでしょう。
ただし、「設計」だけを専門にしている設計事務所では、いざ工務店に依頼をしたときに「できない」という可能性もないわけではありません。また、高額な「設計料」が発生するケースも少なくありません。
設計・施工の両方をできる工務店を選べば、こうしたデメリットを回避することができます。
また、設計士にも得意不得意があり、ビルなどの鉄骨や鉄筋コンクリート造が得意な人や、木造が得意な人、デザインが得意な人と様々です。木造住宅を建てたいと思うなら、工務店は木造設計に詳しいところを選びましょう。
これらを踏まえた上でやはりいちばん大切なのは、その工務店と信頼関係を築くことができるかどうかです。自分たちが建てたいと思っている家を実現するために、同じ立場に立ってその方法を考えてくれる会社でなければ、家を建てる作業は次第に辛いものになっていきます。
地元の工務店へ足を運ぶうち、自分が求めているものを持っている会社がどのようなものかがわかってきます。間取りプランや見積もりなどを依頼してみて、いくつかの工務店に絞ってみるのもいいでしょう。